飛ぶ鳥を落とす勢いのFacebook、会社としての強みはこの3つにあると思う

公開日: : 最終更新日:2017/03/08 WEB / アプリ , , , , ,

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大学の経営学の授業にて、関心のある企業を一つ選びその競争力の源泉を探れ、というレポート課題が出されました。 そこで私はFacebookを取り上げ、同社の強みをレポートにまとめました。 本稿はそのレポートをそのまま転載したものです。

はじめに

 2010年に公開された映画「ソーシャル・ネットワーク」で、その創業物語と本人の人柄の悪さが描かれたハーバード大学生、マーク・ザッカーバーグ。そんな彼が、後に誰もが認める屈指の凄腕経営者として成長し、世界でも指折りの大富豪になることを誰が予測できただろうか。ザッカーバーグが2004年に創業した米Facebookは、創業時より主力事業であるソーシャル・ネットワーキング・サービス ”Facebook” の開発を始め、現在に至るまで前例がないほどの速度で成長を遂げてきた。現在、Facebookの時価総額は日本円にして約37兆円(2016年11月時点)であり、日本企業一位であるトヨタ自動車の20.7兆円を優に上回る。創業からわずか12年で14,500人の従業員を有し、今もなお事業は急成長中だ。筆者は2006年よりFacebookを使用しているため、既にFacebook歴は10年となる。変化が激しいインターネットサービスの領域で、これだけ息が長く使われ続けているサービスは世界を見渡しても数少ない。ではなぜ、Facebookは長期にわたり世界中のユーザーに使われ続けているのか。いかにして、同社は米国のみならず日本を含む世界各地へと事業展開し、わずか10年でインターネット業界の巨人となり得たのか。本稿では、過去に類例のないスピードで成長を遂げ、インターネットの世界に巨大な帝国を築き上げたFacebookの事業に視点を当て、その競争力の源泉に迫る。

Facebookのミッションと事業内容

 ”Facebook’s mission is to give people the power to share and make the world more open and connected.”

 Facebookのミッションは同社のホームページに大きく掲げられている。そのまま直訳すると「人々に共有する力を与え、世界をよりオープンで繋がった場所にすること」といった日本語訳になるだろうか。文字通り、同社はFacebookという製品を通して人々が様々な物事を共有し合い、友人や家族と繋がることができるツールを提供している。2004年の創業時、ハーバード大学生専用の小さなコミュニティとして始まったFacebookは、瞬く間にその規模を拡大し、今や世界で約17億人もの月間アクティブユーザー(月に最低一度はサービスを利用する人)数を誇る巨大SNSへと進化した。初めはプロフィールページを作成するだけの極めてシンプルなサービスであったが、現在はグループを作成できたり、ライブ動画の配信ができたり、スポーツの試合の速報が観れるなど、かなり多機能化し様々な用途で使用されている。 

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Facebookの2016年第三四半期までの四半期ごと月間アクティブユーザー数推移。10億人を超える規模で未だに成長速度が衰えない。

(出典:Facebook 2016年第三四半期決算資料より)  同社は現在、Facebookという主力サービスに磨きをかけつつも、他に様々な製品・サービスを開発、運営している。画像や動画を通して他者と繋がるSNS「Instagram」やLINEのようなメッセンジャーアプリ「WhatsApp」「Messenger」などがそれにあたる。特に近年、Instagramは日本でも若年層を中心に多くのユーザーを獲得しており、Facebook本体やTwitterに次いで人気のある巨大SNSとなっている。この時点でお気づきかもしれないが、これらのサービス全てが、ユーザーがインターネットを通して他者と関わりを深められるようなツールとなっている。つまり、これらは正にFacebookのミッションである ”make the world more open and connected” を体現しているのだ。また、InstagramやWhatsAppは、Facebook同様に世界中で何億人もの利用者を有している。同社が保有する全てのサービスのユーザー数を合算すると、その規模は米Appleや米Googleらが有するユーザー基盤と肩を並べるほど巨大なものになり、ソーシャル・ネットワーキングの領域においては他社の追随を一切許さない圧倒的な世界ナンバーワンなのだ。ではなぜ、Facebookは現代のインターネット業界、ソーシャル領域において覇権を握ることができ、今もなお急成長を続けているのか。筆者は、以下に挙げる3つの強みこそが同社の競争力の源泉であると考える。

① 市場動向を見極める力・市場変化への適応力

 Facebookの競争力の主たる源泉は間違いなく、同社の市場動向と世の趨勢を見極める力にある。2008年、米Apple社のiPhone発売により幕を開けたスマートフォン時代。あらゆるテクノロジー・インターネット企業がパソコン(以後PC)に適したフォーマットでサービスを開発していた最中、世界中でスマートフォン保持者が急速に増加し始めた為、モバイルへの最適化が最重要課題として叫ばれるようになった。ただし、既にPC向けサービスで莫大な利益をあげていた多くのインターネット企業にとって、そのリソースを分割してまでモバイル向けサービスに注力するには、長い時間と勇気を要した。Facebookも当初は例外ではなく、創業時よりPC向けサービスとして運営していた為モバイル最適化が最重要課題となった。一時はモバイル最適化において大幅に遅れをとっていることに対して、投資家や株主から厳しい批判を受ける時期もあった。ただし、創業者であるザッカーバーグ含め経営陣らは、スマートフォンというデバイスがPC以上に爆発的に普及すると確信し、モバイル最適化に経営資源を集中させる戦略をとる。スマートフォンアプリの開発を急速に推し進め、モバイル向け広告事業の拡充に心血を注いだ。その結果、2016年の今Facebookは約15億人ものモバイル月間アクティブユーザー数を獲得することとなった。また現在、同社の広告事業における売上高の84%をモバイル広告が占めている。これは当時の意思決定が正解であったことを物語っている。Facebookは市場動向を的確に見極め、大きな変化にも柔軟に適応することで、インターネット企業として生き残ることができたのだ。なお、同社が市場の潮流や変化を見極めるのに長けているのは、創業者であるマーク・ザッカーバーグが元より生粋のエンジニアであり、テクノロジーへの理解が深いことが主たる要因であることは言うまでもない。

② 圧倒的な意思決定スピード

 Facebookの社運をかけた大事な場面における意思決定のスピードは、インターネット業界において随一と言われている。特に、M&Aを決める際の意思決定スピードは他社の追随を許さない。その例として、とりわけ有名な事例がInstagramの買収劇だ。2012年の春、当時まだ社員わずか13名、売上高がほぼゼロだった写真共有アプリの運営会社を買収した。当時におけるFacebook史上最高額のM&Aとして話題を集めたが、Instagramはまだ事業として収益性と持続性を実証できていなかった為、多くの投資家やメディアが懐疑的な態度を示した。あまりの唐突さに、その動きに疑問を抱く同業者も多かった。だが、その後の結果は誰もがご存知の通りだ。2016年6月には月間アクティブユーザー数が世界で5億人を突破したと発表され、近年開始された広告事業は急速に成長している。InstagramはFacebookにとって本体サービスに続いて、次なるドル箱となる見込みだ。日本国内でも多くの著名人が利用する上にユーザー数の推移も順調で、Facebook本体やTwitter等に次いで圧倒的な人気を誇るアプリとなっている。通常であれば、まだ無名の会社を売上高もないフェーズで買収するという事例は極めて少ない。そんな中で同社はInstagramの買収を他のどのテクノロジー企業よりも早く決断し、誰も競争できないよう高額なオファーを差し出した。世界最大のメッセージングアプリ「WhatsApp」や、近年話題のVR機器を開発する「OculusRift」も、数多あるテクノロジー企業を差し置いて圧倒的なスピード感で買収までこぎつけた。こうしたM&Aまでの意思決定プロセスとそのスピード感こそが同社の競争力の源泉なのではないだろうか。  FacebookのM&Aにおける先手必勝な戦略とそのスピード感は、決して偶発的に起きているものではない。同社には、何よりもスピードを意識するような文化が根付いているのだ。創業当初から近年まで、”Move Fast and Break Things” (日本語訳: 素早く動いてぶっ壊せ) をモットーとしており、ザッカーバーグ本人も様々なインタビューにて、製品を完璧に仕上げること以上に、多少の欠陥があっても素早くスピーディに開発し完成を目指すことを重視する、としている。”多少の欠陥があっても”という点が肝である。通常であれば、多くのユーザーを有し上場企業でもある会社が”多少の欠陥”を許す、などとメディア向けに大っぴらに公開する事はまずない。ザッカーバーグは、この同社の行動指針を2012年の上場時に、投資家向けへの手紙の中にも記している。ここまで思い切って”スピード”を最重要視する企業は珍しい。同社のオフィスの壁に”Done is better than perfect” (完璧であること以上にまず形にする事が重要) と大きく描かれている事は有名だ。このように、何よりもスピードを重視し企業努力を怠らない文化こそが、同社の競争力の源泉である。 2014%2f04%2f30%2ffc%2fzuckerberg1-d1a63 (出典:http://mashable.com/)

③ 膨大なユーザーデータと広告商品の精度

 Facebookのビジネス面での競争優位性に迫ってみよう。まず、同社が抱える各種サービスにおける莫大な数のユーザー数こそが直接的な強みとなっている事は言うまでもない。Facebook本体には世界で17億人もの月間アクティブユーザーがいる。加えて、Instagramには5億人、WhatsAppとMessengerには10億人以上ずつ、月間アクティブユーザーがいる。本質的な算出方法とは言い難いが、これらの数字を単純に合算すると、Facebookは会社として42億人以上もの月間アクティブユーザーを抱えていることになる。日本で最も利用されているスマートフォンアプリLINEの、世界における月間アクティブユーザー数が2億2000万人程度であることを考えると、Facebookが有するそのユーザー基盤の圧倒的な規模が理解できるはずだ。更に驚異的なのは、そのユーザー数が、今も勢いが衰えることなく右肩上がりに成長し続けているということだ。故に、世界規模で見ても、ソーシャル系サービスの領域において同社が展開するサービス群に肩を並べる企業は皆無である。また、こうしたソーシャル系サービスにおいては、ネットワーク外部性が作用するため、他社サービスが一夜で勢力図を塗り替えるような事は考えづらい。従って、この領域における同社の圧倒的優位性は、何か重大な失態を犯さない限り、当面の間は磐石と言えるだろう。  Facebookが企業として抜きん出いている点は、保有するユーザーの数だけではない。膨大な数のユーザーデータを処理し、それを収益化する技術もまた同社の大きな強みである。FacebookやInstagramはどれもユーザーが無料で利用できる仕組みになっているが、これは同社が広告事業により収益をあげているからに他ならない。膨大な数のユーザーが日々何度も閲覧するFacebookやInstagramのタイムライン上に、広告を出稿できる仕組みを提供する代わりに企業から出稿料を得る。同社はこのビジネスモデルにより、2016年第三四半期だけでも約70億ドルもの広告売上を計上している。

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2016年第三四半期だけでも約70億ドルの広告売上

(出典:Facebook 2016年第三四半期決算資料より) なお、このビジネスは目下非常に好調であり、ユーザー数の拡大とともに順調に推移していく見込みだ。また、同社の広告ビジネスは過去10年において急速に成長し、オンライン広告市場におけるシェア2位の座を射止めている。Googleが市場シェア1位で約31%のシェアを有しており、Facebookはそれに次いで12%のシェアを有している。つまり、オンライン広告市場はGoogleとFacebookの2社による寡占状態といっても過言ではない。ではなぜ、Facebookの広告事業は莫大な収益を生む事ができるのだろうか。それは、どの他の媒体で広告を出稿するよりもFacebookの広告商品の精度が極めて高いからである。Facebookは実名制のSNSであり、年齢や在住地から趣味趣向まで、ユーザーの様々なリアルな情報が詳細に登録されている。そのため、当然、Facebookは各ユーザーのあらゆるパーソナルな情報を学習し記録している。どんなページに”イイネ”を押しているのか、普段何に関心を抱いているのか、どんな友人と繋がっているのか、どんな商品を購入したいのか。はたまた、どんなジャンルの音楽を聴くのか、どんなジャンルの映画を見るのか、などといったことをFacebookは理解している。こうしてFacebook上に登録される膨大な数のユーザーデータは、そのまま広告のターゲティングに活用する事ができる。その為、Facebook広告では非常に詳細にターゲットを定める事ができ、故に高いパフォーマンスを発揮する事ができるのだ。このFacebook広告の特性は、他社が簡単に真似できるものではない。なぜなら、十数年もの間蓄積されてきたユーザーデータは、先に述べたように同社の最大の資産であり、一朝一夕には獲得し得ないものだからだ。従って、Facebookが有する膨大なユーザーデータと、それを活用し綿密なターゲティングを実現した広告商品は、同社のビジネスにおける最大の強みであると言える。

Facebookの進化は止まらない

 以上の通り、本稿では筆者が考えるFacebookの企業としての3つの強みを挙げてきた。更に、最後に同社における最大の強みを挙げてみたい。それは、創業者であるマーク・ザッカーバーグ本人がまだ若干32歳であり、今後も長らく、自ら同社の経営を担っていくであろう点だ。企業は本来、先見の明を持った強烈なリーダーシップの元でこそ、類い稀な進化を遂げる。Apple社のスティーブ・ジョブズやMicrosoft社のビル・ゲイツがそうであったように、ザッカーバーグには同類のリーダーシップとカリスマ性が見て取れる。仮に彼が50歳まで自ら同社を経営するとして、まだ18年もの期間が残されているのだ。筆者は、この創業者の若さこそが同社最大の強みなのではないかと感じている。この先の5年、10年、Facebookとザッカーバーグはどんな世界を描き、実現していくのだろうか。引き続き、同社の戦略と動向には注目していきたい。 facebooks-f8-conference-mark-zuckerberg-revealed-10-year-roadmap-spotlight-01 (出典:http://www.theblogismine.com/)  

参考文献

Facebook Q2 2016 Results Facebook newsroom Facebookのユーザー17.1億人―好調Q2の売上は64.4億ドル、株価は7.5%アップ Google、世界のネット広告市場で依然トップ。モバイルネット広告、YouTubeが後押し FacebookがWhatsApp買収手続きを完了、総額218億ドル超に 「社員13人、売上高ゼロ」でも買収額810億円、フェイスブックM&Aの真相 Facebook Changes Its ‘Move Fast and Break Things’ Motto

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